CPU(プロセッサー)の選び方

メモリとともにパソコンの性能を左右する上で大きな要因となるものがCPU。その選び方について解説する。

CPUとは何か?

CPUとは人間でいう頭脳に当たる部分であり、パソコンの演算処理を主に担当する。アプリケーションから来た指令(ファイルの操作、今月の食費を計算して結果を返すなど)をCPUが働いてこなすのである。

CPUの性能が悪いと指令に素早く答えることができない。その結果パソコンの動作が鈍くなり、使用者はイライラしてしまう。

例えば、Webサイトを見ている時にマウスのスクロールが滑らかでない、動画がカクカクする、動画のエンコード(編集した映像を最後に形式変換して出力する過程)が遅い、急にクリックが反応しづらくなった、なかなかアプリケーションが立ち上がらない、PCゲーム中にボタンを押しても遅延する、などは原因の全てがCPUというわけではないが、CPUが一因で起きるのである。

CPUの代表的な製品と性能順序

パソコンのCPUを販売する会社はインテルとAMDの2社しかない。さらに大半のPCがインテル製のものを使用している。

毎年型番違いの製品が発表されるため単純な比較はできないが、性能が高い順に代表的な製品を挙げていくとIntelでは
Core i7 > Core i5 > Core i3 > Pentium > celeron > Atom 、 またAMDではRyzen7 > Ryzen5 > A10 > A8 > A6 = FX > Eシリーズ = sempron といったイメージである。

過去にはCore 2 Duo, Athronなどもあったが、ともあれIntelの順序は頭に入れておこう。

CPUの進化に伴いパソコンの速度で悩まされることはなくなるかと思いきや、それに伴ってアプリケーションも高度化しているため最新のものをいつまでたっても使わなければならない。正直辛いところだ。

CPUの基本的な選び方

CPUは基本的にはパソコンの使用目的と頻度によって決めるのが良い。下記が一般的な選び方のケースである。

1.動画や画像の編集作業やパソコンの3Dゲームはあまりやらないが日常的によくパソコンを使う人ならばCore iシリーズのプロセッサーが良い。その中でどのCPUを選ぶかは値段と相談しよう。

2.インターネットやメールでたまに使用する程度であるならばceleronやAtomでも充分である。ただしatom、celeronのPCで動画を見るとたまにであるがカクツキが見られたので動画をメインにするならば、Core iシリーズの最低ランクのものを備えた方が良いかもしれない。

3.映像の編集作業を日常的にやっている、あるいは3Dゲームを限りなく最適な環境でやりたいと思っている人は高ければ高いCPUほど期待にこたえてくれるはずである。Core i5以上が推奨であるが、予算に余裕があればとことん性能を追求してみるのもおもしろいと思う。

また、ノートパソコンの場合は迷ったら一つ上のランクのCPUを搭載することをおすすめする

ノートパソコンはその筐体上熱がこもりやすく、CPUは最大消費電力を抑えた仕様のものが採用される。これらのモデルは性能を犠牲にして熱を抑えているため当然遅い。

よってノートパソコンでCore i3かCore i5で悩んでいる場合にはCore i5を採用しよう。デスクトップの場合はその逆でCore i3で十分である。

CPUの型番 | Core i5-8600Kの意味するところ

Core i7、Core i5など基本的なシリーズが分かったとしても、実際にどれぐらいCPUの速度が異なるのか?旧世代のCPUと新世代でランクが一つ下のCPUではどちらが速いのか?あるいはノートパソコンとデスクトップのCPUではどれくらいの差があるのか?などの疑問は残る。

それらの質問に答える前に、まずCPUの型番について理解する必要がある。

パソコンの仕様でCPUの項目を見ていると、同じシリーズのCPUであっても、番号やそのお尻のアルファベットが製品によって異なっていることに気付くと思う。

実はCPUにはCore i3、Core i5、Core i7といったシリーズの分別より細かい種類分けがされている。少し専門的にいうと、より細かく型番が分かれている。 そして型番ごとに性能が異なってくる。

例えばインテル® Core™ i5-8600K プロセッサーなどと製品仕様で書かれているが、この8600Kは何を意味するのだろうか?。

数字の一桁目は世代

最初の8は世代を表し、パソコン販売サイトに行くと第8世代のCPU搭載高スペックPCなどと謳われている。

世代と一般的な感覚でいうと、親世代や子供世代などが想像され、1世代前は30年前ぐらいかと想像してしまう。しかしインテルのCPUにおける世代は、CPUの基本設計を指す。ほぼ毎年1度、基本設計が変更されたCPUが発売され、その度にCPUは第〇〇世代と代を重ねていく。

世代が上がった製品は設計が最新のものとなるため数字の大きい方が性能が高い

また、第8世代はCoffee Lake第7世代はKaby Lake第6世代はSkylakeという開発コードネームが別途ついており、このコードネームでCPUが語られる場合も多いため覚えておいて損はない。

ちなみに、コードネームは開発段階でつける製品(またはプロジェクト)の名前であるが、エンジニアはこのコードネームをつけることで、製品開発に関する会話を円滑にする、あるいは好きなネームを付けることでモチベーションを高めるのである。

このため製品の宣伝でコードネームを使うのは、単にマニアックなパソコンオタクの心をつかみにきている感じがして好きにはなれない。どうでもよいことではあるが。

2桁目以降の数値はモデルナンバー

次に8600Kの600はモデルナンバーを指し、こちらも数字の大きい方が性能が高い。モデルナンバーはマイナーな製品改良により上がることが多い。

お尻のアルファベットはCPUの用途

8600KのKはCPUの用途を表しており、Kはオーバークロック対応という意味を表す。通常のCPUは、安定性を重視して速度に制限をかけており、オーバークロックはその制限をはずす行為のことをいう。

デスクトップで使われているCPUの多くはオーバークロック対応をしており、このKが付くことが多い。

その他、ノートパソコンに主に使われる低消費電力のUや、通常のデスクトップ向けのアルファベットが無いバージョンがある。

実際の性能を確認

型番について理解したところでCPUの実際の性能をベンチマークテストの比較サイトで確認してみよう。

ベンチマークとは性能を測るために使われる一般的なテストで、これから紹介するものは様々な状況でCPUを使用した時のパフォーマンスを数値として総合的に出してくれるものである。スコアが高いほど高性能である。

英語のサイトにはなるが、デスクトップPCのベンチマークノートPCのベンチマークを確認すると以下の事に気付くはずである。

世代が異なるとCPUの性能が逆転することがある

世代が異なれば、旧世代のハイエンド、ミドルエンドがそれぞれ新世代のミドルエンド、ローエンドのモデルにスコアが抜かれていることが多くあることがわかる。

例えばKaby LakeのCore i7-7700KとCoffee LakeのCore i5-8600Kを比較すると、Core i5-8600Kの方が高いスコアとなっている。

CPUの進化は早く、3年前に購入したCore i7より最新のCore i3の方が速いのである。

パソコンを中古でなく新規で購入する場合、たいていは最新世代のCPUが搭載されている。しかし、製品の変わり目では新旧のCPUが混在するため注意しよう。

デスクトップのCore i3はモバイルノートのCore i7よりも高速

型番の末尾にUがつくモバイルノート向けのCPUであるが、総じてパフォーマンスが悪い事が分かる。

第8世代のCore i7-8550Uは同世代のCore i3-8350Kにスコアで敗れている。ノートパソコンの中にはデスクトップと同等のCPUを使用しているものもあるが、多くは低消費電力版を使用しており、パフォーマンスは悪い。

ノートパソコンは一段階CPUを高めにしておくと良いと上で述べたが、ベンチマークの結果により理由が良く分かったと思う。

世代間のパフォーマンスの差異にはバラツキがある

世代の移り変わりによるパフォーマンスの向上はまちまちで、前世代より10%程度しか平均でパフォーマンスが向上しない時もあれば50%程度も向上する時もある。

あまり向上しない時は、コストパフォーマンスの観点から旧世代のCPUを選択することは悪くない判断である。

その他CPUの仕様説明

パソコンのCPU仕様の欄には(4コア/3.00GHz/TB時最大3.50GHz/6MB スマートキャッシュ)なども書かれている。これらの数値が高いからといって必ずしも性能が高い訳ではないため、ベンチマーク結果と比較すると特に気にしなくても良いと思う。しかし気になる人向けに説明しておく。

コア数、スレッド数

まず4コアとは何か?コアは演算処理を行う中核をなす部分であり、それが4つあるということである。

人間を例に考えてみよう。人間の脳は一つなのでCPUに例えれば1コアの状態である。一つの脳でメールの処理をしながらテレビを見る、テレビを見ながら料理を行うなど複数の事を同時に行うことが可能だ。

しかし、厳密には同時に処理しているのではなく、頭の中でどちらのタスクに集中すべきかを短期的に切り替えている。頭の切り替えが必要なため、平行して2つ以上のタスクを行うことは非常に疲れるし効率も悪い。

CPUも同様に、メールの処理をしてインターネットと通信して、マウスのカーソルを動かしてと複数の事を一つのコアで行うことはオーバーヘッドが大きく大変な作業である。

2010年頃まではそれでも一つのコアの性能を高める事でCPUの性能を高めてきた。しかし熱暴走するなどの限界が生じ、それならば演算の脳を2つ持たせてそれぞれの脳が仕事をすれば良いという発想になった。これがDual Coreである。

その発想を更に進化させ、コアを4個、8個、16個と増加させて性能を高めてきているのである。

コア数が多いと単一のアプリケーションを起動している状態ではたいして効果がないが、複数のアプリケーションを起動しても反応速度が落ちにくくなるという特徴がある。

また単一のアプリケーションであってもマルチコア(マルチスレッド)に対応し、チューニングされているものであれば同様に恩恵に授かることができる。

裏でウイルス対策ソフトが動いているなど、基本的にパソコンは複数のことを同時に行うためマルチコアは適していると言える

次にスレッド数について言及しておく。スレッドとは英語ではthread(糸)を表し、プログラム実行時の処理の流れのことであり、スレッド数はその本数である。

1コアで1スレッド処理が基本なのだが、コアの設計次第では2つのスレッドを処理できるものもある。

インテルのハイパースレッディング・テクノロジー (Hyper-Threading Technology、HTT) は1コアで2スレッドの処理を行うことが可能であたかも2コアのように振る舞う。

しかし1コア2スレッドは2コア2スレッドと比べると非力である。

クロック周波数 (GHz)

次に3.00GHzとは何か?これはクロック周波数と呼び、1秒間に発振する(電圧の最大値と最小値を繰り返す)回数である。

CPUはより物理的な仕組みとして電圧の波を発生させ、その波の変動により同期を取り計算を実行している。命令を処理することができ得るタイミングの数と考えれば良い。

よってクロック周波数が大きいものほどCPUの性能が良い

3.00GHz(ギガヘルツ)ならば、1秒間に30億回の命令を処理できることになる。ただし、どのようなタイミングで命令を処理するかはCPUの設計によって異なってくるので、同種類のCPUであれば性能比較に使えるが、AMD製のCPUとインテル製のCPUのクロック周波数を単純に比較してどちらの処理速度が上かを測る事はできない。

次にTB時最大3.50GHzとあるが、TBとは何か?これはターボブーストテクノロジーというインテルの技術で、CPUのパワーが一時的に必要な場合に、通常のクロック周波数よりも大きな周波数を実現することができる。

この例の仕様では通常は3.00GHzであるが、ターボブースト使用時には3.50GHzまで性能を高める事ができる。

どのような場合に使われるのか?まず通常3.0GHzに抑えている理由は、マルチコアのCPUのそれぞれのコアがそれ以上の周波数で稼働してしまうとCPU全体が高温となり性能がかえって落ちてしまう、あるいは破損してしまうことがありからである。

しかしマルチスレッドに対応しない処理の重いアプリケーションが一つ起動していてかつ、他のアプリケーションがそれほど重くない場合は、マルチコアの恩恵は得られないが、周りのコアの稼働率が低い分CPUがそれほど高温になることはない。

そこでターボブーストを使い一つのコアの周波数を一時的に上げ、重いアプリケーションの処理を加速させるのである。

すなわち、 ターボブースト(TB)は処理が重いシングルスレッドのアプリケーションを実行するときに役に立つ

キャッシュ

スマートキャッシュ6MBと書かれているがこれは何か?キャッシュとは一時的に計算結果などを保存しておく場所の事で、この場合CPUの中にキャッシュ機能を積んでいる。

ハードディスクやSSD、メモリーも同様にデータを保存しておく場所であるが、CPUとの物理的な距離が離れているため演算処理の途中結果を保存しておくには効率が悪い。CPU中のキャッシュはCPUのコアと物理的に近い場所にあり、かつ少量ながら高品質であるため非常に高速である。

また、スマートキャッシュはインテルが開発したキャッシュシステムだが、どのあたりがスマートなのだろうか?

一時的にキャッシュにデータを保存しておいても、二度と使われないデータならばキャッシュを行い再利用する必要などない。すなわちどのデータをキャッシュとして保存して、どのデータを捨てるかの判断がスマートなのだろう。

ともあれ値が大きければCPUの性能が高まると考えておけばよい。ただし、優先順位の高いものからキャッシュを行う関係上、2MBを4MBにすると効果は絶大であっても4MBを6MBにすることはそれほどでもないであろう。

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